雨音に責められて



コーヒーの香りが立ちこめる部屋で

君が選んだ葡萄色の灰皿を見つめていた

天気予報によると今夜は雨が降るらしい

時計の針が妙に嫌な音を立てるから

その音をかき消そうとしてラジオをつけた

聴き覚えのある曲が流れてきた

ピーター・ガブリエルとケイト・ブッシュの

「ＤＯＮ’Ｔ　ＧＩＶＥ　ＵＰ」だった

ベッドに腰掛けて煙草に火をつけた

近頃　憂鬱が離れない

こんな時はゴダールの不可解な恋愛映画が見たくなる

ああ　このとめどない切なさを

何処に押し込めればいいのだろう

コーヒーを飲み干すと雨の音が聞こえてきた


雨音が僕を責め立てる

雨音が僕を責め立てる


君が僕の心を奪った瞬間　僕は君の幸せを奪った


雨音が僕を打ちのめす

雨音が僕を打ちのめす


雨戸を閉めてベッドに強く倒れこんだ

自分の弱さを押し潰すようにシーツにしがみついた


こよなく君を愛しているのに

こよなく君を愛しているのに


眠ってしまいたくない　夢の中でさえ許されぬ恋だから

今夜は目に映るすべてを抱きしめながらあたためよう

君が消えないように