夏の夜は喧騒を離れて 人気のない空き地
置き去られたタイヤの上に腰を下ろすのも悪くない
君は何だか興奮した口調で愚痴をこぼして
そのうち急に黙りこくって月をにらんだ
今日 先生が言ってた
「若すぎる恋は成就しない」という言葉が
どうにも気に入らないらしい
教科書が入ったままの鞄を二つ並べると
君は少し悪いことをしているような気持ちに押されて
嬉しそうに笑った
夜のしじまは二人を祝福するが早いか
すぐに先生や親の顔を映し出す
君の耳を出した髪形 ふっと風が撫でると
僕は言葉も生活も無意味に思えてくる
こんな夜 ベッドで汗だくになるのは馬鹿げてる
手を握ることにさえ不器用なままの二人でいい
今夜は眠らず 明日を待つことだけに時を費やそう
僕は明日が当たり前にくるものだと思っていたけれど
こうして待ち焦がれた末 訪れる明日なら
それはきっと意味のあるもの
二人で静かに
この闇が光に覆われてゆく過程を見届けよう
明日になったらその時 また次の明日を祈るんだ
ずっと先の明日に
この若すぎる恋が報われるように
