ほがらか



明るい人ねと言われ

笑顔がすてきねと言われ

いつしかほがらかなおんなを

演じるようになった


しっかり者ねと言われ

頼りがいあるわと言われ

いつしか気丈なじぶんを

よそおっている


わたしの幻影が

独り歩きしていて

当のわたしはそのうしろを

とぼとぼついてゆく

いいえ 今では追いつくのも

せいいっぱい


ほんとうのじぶんは

もっと暗くてだらしない

だから勝手なイメージで

わたしを縛らないで

なんて ほら

すぐひとのせいにするような

甘ったれ


ほんとうは気づいてる

悪いのは周りではなく

おだてられた言葉に乗って

つくろっていたわたし

じぶんを縛りつけていたのは

わたしだ


だからもう

独り歩きする幻影なんて

先に歩かせておいて

わたしはわたしの歩幅で

生きてゆこう


肩のちからをぬいて

イメージの殻をぬいで

だれかに笑われたら

いっしょに笑い飛ばして

素肌で風を

感じながら歩くの


そんな風に生きられたら

殻の中のわたしは

案外ほがらかかも