色恋沙汰 見わたすかぎりの大地に おおきなテーブルクロスを敷こう どこまでもロールをころがし まっ白な木綿をひろげて さて　オーダーをうかがいましょう きみの好物をならべてごらん チーズフォンデュ　ストロガノフ マルゲリータ　シナモンチェリーパイ 自家製プディングも召し上がれ 勢いあまってチェリーをこぼし 赤いシミがにじんでも それはきみがえがいた軌跡として 洗わずにたいせつにしよう さあ　食事を終えたらいっしょに 大地のキャンバスに絵を描こう ヘタクソでもセンスがなくてもいいさ いっそ頭から絵の具をかぶって 抱きあったまま転がろうか ふたりの色でシーツを染めれば そのままいのちの地上絵になる ひとは大人になるにつれ 白さを失うというけれど それは汚れたわけではなく 食べて　失敗して　恋をして ただ夢中に生きたということ きっとこの星の景色は そうやって彩られてきた ごまかすことも消すこともできない 不器用なものたちの色恋沙汰で 時間をかけて　塗り重ねられて だから極彩色の地球はね きっと愛の歴史なんだよ