１６歳



１６年も生きたのは計算外だった

ぼくは１１歳の夏を

白骨で迎えるはずだったのだ

成長痛を抱えた膝の皿を

投げ出した格好で

校庭に埋められる

多忙な昼と寂しい夜を繰り返す

水はけの悪い土の下で

第二次性徴も知らず

恋も歪めず

まるで少しも傷ついていませんよというような

頭蓋骨をして


ほんのささいな計算ミスをきっかけに

ぼくは１６年もの歳月を

図々しく生きてしまった

生まれたての頃より

分からないことが増えている

なぜ人は争うのか

なぜ花は散らなければならないのか

なぜここは三次元なのか

なぜ「なぜ」と考える必要があるのか

分からない

まだキスの味さえも


そこで根本的な謎に突き当たる

いったいぼくは誰で

なぜたった１６年しか生きていないのに

１６歳になってしまったのか