切り札



助手「博士！　これは歴史的な新発明です！」


博士「大袈裟ね」


助手「韓流スターとジャニーズとイケメン演歌歌手に寄せる

婦人たちのエネルギーを電力に変換して供給する

装置を作り出すとは！」


博士「だれもが一度は考えたことがあるわ」


助手「しかし実現したのは博士だけです。近いうちに

『原子力発電』を凌駕しますよ」


博士「漏れても害がないという意味ではあるいは」


助手「新時代の切り札となり得ます」


博士「女のエネルギーは世界すら変えるわ」


助手「わたくしも、アイデアだけはあるのですが

博士のように実現できるかどうか・・・・・・」


博士「聞かせてみなさい」


助手「はい。ＴＶショーへのクレームと

外国人力士へ差別意識と

ミスプレーに対するアスリートへの野次と

文芸批評及び作品レビューにおける批判と

匿名サイトに渦巻くストレスを

圧縮したのち　再膨張させ

恵まれない子どもたちへの食糧に変換できないものかと」


博士「ゴミの再利用」


助手「リサイクルです」


博士「あなたの批判精神もそこには含まれるのかしら」


助手「ごもっともです。材料にする所存です」


博士「でも　そんなの子どもどころか犬も食わないわ」


助手「ならば野菜の肥料にでも　量は増やせますか？」


博士「化学反応ノ前後デ総質量ハ変ワラナイ」


助手「ラヴォアジエですか」


博士「又、高温ノ物体ガ失ッタ熱量ト

低温ノ物体ガ接触シタ物体カラ得タ熱量ハ等シイ」


助手「カードゲームをやってるようなものですね？」


博士「そう。５４枚は、５４枚」


助手「あとは利用法とルール次第と」


博士「それでも世界はエネルギーに満ちているわ」


助手「手持ち札の多い方が勝ちですか？」


博士「いいえ、勝ち札は１枚」


助手「キング？　ジョーカー？」


博士「男はすぐそのどちらかを選ぶのね」


助手「では？」


博士「ハートのエースよ」


助手「最後に持っていた方が勝ちと？」


博士「いいえ、相手に持たせた方」