染めた髪の色を落とすように
心の傷まで落とせはしないわね
そうつぶやいてメンソールに火をつける娘は
１４で心を閉ざし
１５でベッドに入ることを覚えた
お前は怪我をした羽をかばいながら
不器用に灰色の空を舞う小鳥のよう
二度と巣には帰らない
二度と巣には帰れない
ねえ 俺は雑なやり方しか覚えてこなかったから
包んであげられるだけの優しさも見出せやしない
ただ社会がお前に手渡した不必要と書かれたチケットを
引き裂いてしまうことくらいしか
お前は俺の煙草の箱を月明かりにかざし
まだ少女の残る唇を静かに動かす
「ショート・ホープ」とはよく言ったものね･･････
「短い希望」とは･･････
気がつくと次の瞬間 やりきれない激しさに襲われて
倒れこみ ふたり床の上を転がりあった
もういい･･････ もういい･･････
お前が脅えてしまっているすべてのものから
せめて俺が遮っている間
眠っておくれ 眠っておくれ
どうか安らかな夢を見て･･････
暴力的な現実から 疎外された俺達ならば
もう法律の届かない場所にお前が帰れる巣を作ろう
目覚めたら 信じて口づけてくれないか
ノートの切れ端で作った
この汚い字の婚姻届に
