世界を恨むのはやめにしたいと思っているのだが、妹にまつ

わるあの忌まわしい事件だけはどうしても拭い去れない。

僕は己の中の憎悪を止められない。思い出すと、激しい衝動

にかられて、その憎悪のパワーをどこかにぶつけたくなる。

誰かに止めてほしい。もう自分では抑えることができないのだ。

僕はある種の大人を激しく憎んでいる。呪ってすらいる。己の

欲望のはけ口を子供に求める醜い大人達だけは許すことが

できない。大人の資格のない大人がこの世には腐るほどのさ

ばっているのだ。そういう奴らをみんな消したい。そうしたらい

ったい何人の大人が残るだろうか。

正義を教えてほしい。僕ら子供達に。正しい大人がもしもこの

世に存在するならば、何が正しいことなのかをきちんと教えて

ほしい。迷える子供達は、だからこそ、激しい衝動の中で鬱屈

とした罪を抱いているのだ。どうか僕らを導いてほしい。

病原菌のような大人がいるのだ。この世には。病んだ心を子供

にぶつけ、病んだ大人を育てる。その循環だ。

それでもこの世にはわずかながら正しさを貫く大人がいること

も僕は知っている。どうか救ってほしい。僕らを。子供代表として

僕は強くそれを訴えたい。究極的なところでやはり子供は大人

に勝てはしないのだから。あなたたたちが示してくれなかったら、

僕らは誰から正しさを学べばいい。本当はあなた方を尊敬した

いんだ。でも、たいていの大人は、尊敬に値することもしない

くせに、尊敬のまなざしばかり僕らに強要する。そんなの無理な

話だ。勉強なんて、必要な事が分かれば、必然的に頑張るよう

になる。でも、生き方は、あなた方に示してもらわなければ、た

やすく間違えてしまいそうな僕らなんだ。

ただし、妹の事件に絡んだたぐいの大人達は、もはやどうにも

ならない。あの類の人間は伝染病の病原菌だ。だから、世界の

ために死んでもらわなければならない。そういう大人にしたのは

さらにその大人達のせいだ。どこかでこれを食い止めない限り、

不幸は繰り返されるのだ。

僕の考えは歪んでいるかもしれない。でも、エゴにまみれたあの

類の大人達は絶対に許せない。妹を返せ! 妹を返せ!

このゴミクズ野郎どもが!

いったい誰のせいなんだ。

いったい何がこんなにも人間を狂わせたんだ!