タイヤの後が黒くにじむコンクリートの上
後輩の買い込んできたコーラが劣等感のように並ぶ
俺達と彼女達の放課後はここでだけ息ができる
出入りの少ない街外れの駐車場
迷惑そうな店員の視線をよそに溜息を比べ合う
排気ガスの向こうに見える白いものの数を
目をこらして数えては また目を閉じるような日々
時々 原因不明の虚無に襲われることがあると
誰が集合をかけるでもなく 固まり合っていた
彼女達が制服のままドーナツをほおばると
俺達は退屈な瞳を泳がせて煙を吐き出す
足元に転がる吸殻たちは苛立ちの数じゃなく
流れてゆく時に負けそうな不安の証
お前は水たまりを鏡にしてリップを塗り終えると
巻き毛に指を絡ませて 唇を動かした
「始めからひとりぼっちだって分かっていたら
人は淋しくならずにすむのかな･･････」
反抗することに自分の存在を見つけ出しても
未だに幸福と不幸の区別もつきやしない
しょせん世の中に甘えているだけの俺達さ
風当たりの強さに術をなくしているだけ
ああ 擦り切れたお前を体を使わず抱きしめたいよ
石ころに薔薇の淋しさを拭えるものなら･･････
俺達はコーラを置いて言葉もなくうつむいた
彼女達は食べかけのドーナツを手に涙をためた
このままクズのように埋もれたくない
この生活からお前を救い出したい
やみくもに悪ぶってるわけじゃないんだ
神経の先までひねくれちまったわけじゃないんだ
本当は誰かに愛されていたいんだよ
本当は大人達にだって
抱きしめられていたいんだよ
