水母 抱きしめてください 産みたての卵をあたためる イヌワシの母鳥のように そしたらぼくはしずかにします 卵の大人らしさに習って 撫でていてください とれたての南瓜を愛でる 不作の秋の農夫のように 中身の貧しいところが 南瓜にぼくは似ています そうでなければ　いったい どうして救われるのですか すべてを失ったあの日 土に還ることだってできたのに こんな風にみじめにまだ うたにすがっているだなんて やさしくしてください 足のもげた兎に餌をやる 飼育係の少女のように たとえそれが良い子である為の 演技であってもかまわない 包んでいてください 沈みたての夕陽を溶かしこんだ 海のあたたかさで そしたらぼくはやめます くらげがうたをうたわぬように