なぎさの唄



あたまの中に空がある

おざなりに吹く風の音がこだまして

いくつもの汚れた飛行船が

ゆく宛てもなく浮きつ沈みつしている


ひとみの奥に森がある

光を光として受け止めようとするけれど

いくつもの木々が立ちはだかり

胸にとどく頃には木漏れ日となる


嗚呼　できることならば

影も重力も穢れもない

宇宙のみぎわであなたに逢いたい

いつわりなき剥き出しの己で


こころの底に海がある

ときに荒れくるい　ときにたゆたい

永い眠りから覚めた魚が一尾と

珊瑚の影には揺るぎなき愛


深海魚よ　

いま　鳥となれ

森も空も突きぬけ

たかくたかく　飛べ


いとしき人よ

宇宙の渚で会おう

おれはシーラカンスという名の

不死鳥だ