生ゴミの日



恋人よ

あなたには身軽でいてほしい

ふたりでいる時なるべくなら荷物は少なく

ごちゃごちゃしたアクセサリーも外してきてほしい

１ｍｇでも軽いあなたでいてほしいから

化粧は薄く　髪もさっぱりと


恋人よ

できるなら手ぶらでいてほしい

時計もはずして手袋もとって

スキップができるようにそんな高いかかとの靴も脱いでさ

服だけは僕が脱がすまでは

着ていてもらわないと困るけれど


生きるうえで背負わねばならぬ心の重荷は

残らず僕がそぎ落としてあげるから

めんどうくさいプライドや

わずらわしい見栄なんかは

木曜の生ゴミの日に捨ててきてよ

誠に勝手なお願いだけれど

恋人よ　どうかあなたには

身軽で手ぶらでいてほしいんだ


僕はこれから走ることになる

揺れる大地の上を

突風吹きすさぶ中を

迷い　転び

あちらこちらの壁にぶつかりながらも

背後にあなたの微笑みを感じながら

いつか丘の上から燃えるような夕焼けを見るために

その夕焼けをあなたにも見せるために

狂う竜巻を抜けて

焼ける大地の上を

僕はこれから走ることになる

右手を夢の方に伸ばし

左手はあなたの手を握り