二学期の賛美歌



おまえは七億匹の小悪魔どもを引き連れて

二学期の風の中わたしの前に降り立った

残暑の日々にも青い衣で全身をくるみ

美声が織りなす口の悪さ　あの不均衡よ

そしてついには一言の相談もなしに

容赦なくわたしの心臓にかぶりついたのだ


額から鼻先にのびる光の屈折

そのなだらかな曲線　開いた唇の計算のなさ

胸くそ悪いほど愛くるしく

ああ　分別もなくどれほど私は欲したろう

そしてどれほどおまえが誰かに欲しがられることを

毛嫌いしたろう

おお　このわたしの両腕にさえ


苦しみよ　愛は喜びであるはずなのか

この暗く病める想いを　神よ

あなたなら晴々たる軽々しさに変えただろうか

おお　そばにきておくれ　もっとそばに

恥らう頬の赤らみが命に触れるほど

ああ　口づけも不要なくらい　もっとそばに


おまえは女神だ　魂の恋人　恥らう天女よ

女神がおまえだ　わが苦悩のともしび　嫉妬の源

万物のけがれを取り除く唯一の可能性

愛　追求されえぬ美の王　狂気の象徴

最高純度の麻薬　どん底の堕落　千年に一度の鈴蘭

人間の限界点　傷ひとつない白桃　月に棲むうさぎ

その声　そのあたたかさ　そのふたつとない命

小さな体で二学期の私の頭上を支配した

恐るべき青空！

青空！