サンドウィッチ・ナイト 新しいベッドに買い替えるまで あなたの部屋にはいかないわ そのくせおまえは 何千何万の見知らぬ男と女の汗が染みついたシーツの上で ゆっくりと果てた やがて仕事のときとは真反対の 子どものような顔で 好物のワッフルを平らげたときのようないとけない目で おれの抜け殻を丁寧に敷きなおし その上に覆いかぶさる そうして地球とグルになって 引力でおれを磔にしたおまえは 心臓に耳をあてながら 深い眠りに落ちていった 趣味の悪いアジアン調の壁紙 微調整のきかぬ煌々たるライト 有線から流れてくる 耳障りなイージー・リスニング このまま夜が明けぬうちに おまえの細胞すべてがおれの上に委ねられているうちに いっそ月とグルになって その白き腹と背を　 光ではさみこめるなら 物言わぬ髪を撫でながら 忌まわしい天井を見ている なあ　汗がにじむおまえのつむじは 蓮華の匂いがするね