誘ってみなさいよ



「またまた、強がっちゃって」

「馬鹿言うなよ。俺の腕にかかれば女なんて百発百中だぜ」

「へえ〜。それならちょっとあそこを歩いているお姉さん誘っ

　てみなさいよ」

「え？」

「ほら、その証拠を見せてよ」

「今かよ？」

「そうよ」

「そ、そんなこと急に言われたって・・･･･」

「ほら、やっぱりできないじゃない」

「そんなことねえよ」

「じゃあ、やってみなさいよ」

「おおし、やってやろうじゃねえか」

「ようし、やってもらおうじゃないの」

「･･････い･･････いや、やっぱり今日は日が悪いからやめ

　とくわ」

「ふふ、日が悪いだって･･････。もっとましな言い訳ないの」

「言い訳じゃねえよ。牡牛座は今日はついてないって書いて

　あったからよお」

「そんなこと言って本当は自信がないくせに」

「もうやめようよ。そんなこといいから早く映画でも見に行こうぜ」

「私を誘ってどうするのよ」

「いちいちうるせえな。行くのかよ、行かねえのかよ」

「行ってやろうじゃないの」

「なんだよ、その偉そうな態度は」

「あなたの誘いにのるのは、しょせん私だけなんだからね。

　観念しなさい」

「はいはい、分かったよ。分かったから早く行こうぜ」

「よし、行こう」

「ほらな、俺の言ったことは嘘じゃねえだろ？」

「何が？」

「俺の腕にかかれば百発百中だってこと」

「どこがよ？」

「百発全部お前に撃ってるだけさ」