赤面症 小学生の頃　大勢の前で 何か発表する機会があるたびに ぼくの顔は真っ赤になった それでいつもクラスメイトから からかわれていた 中学生の頃　出席確認で 好きな子の名前が呼ばれただけで ぼくの顔は真っ赤になった それでいつもクラスメイトに 好きな子がバレた ニキビ面のうえ すぐ赤くなるので ついたあだ名はイチゴだった 思春期の男子としては 不本意なニックネームだった 緊張したり 好きな子の話題になったりすると 体が火照って顔に出る 変に思われたらどうしよう 見抜かれたらどうしよう そう思うだけでもだめで 自力では止められない 図星であることも 不安であることも 赤面をつうじて筒抜けになる それは大いなる恐怖であり 巨大なコンプレックスだった いつしかぼくは その弱点を逆手にとって 詩を書くようになった ぼくがひそかに思うことなど しょせんだだ漏れなのだと 開き直るようにして 隠しきることができないなら いっそさらけ出すほかはない 恥ずかしい思いや 想う人への愛をバラすこと 詩だけがそれを ゆるしてくれた これもまた 赤面しながら 書いているのだけれど