知らないひと



悩めるあなたは知らないひと

ついばむ鳥たちのくちばしや

奪われたＣＯ２の所為にしないから

心が間違っているとばかり

その果肉のあたたかさも知らず


誤るあなたは知らないひと

歩みをさえぎる向かい風は

攻めているから吹きつけてくるのに

心がしくじったものとばかり

その胸に咲く勇気も知らず


日陰で己を責めないで

涙はあなたの空からこぼれた星と知らず

星ゆえ流れるものと知らず

今宵も肩を震わせて


けれどもわたしは

あなたの其の不覚を愛す

其の透明な誤解を愛す

嗚呼　あなたの知らぬあなたは

この覚醒の中


知らないひとよ　だからどうか

そばにいてはくれまいか

これだけ言ってもあなたのこととは

嗚呼　気づいてもくれないひとよ