雪よ
おまえは一夜のうちに舞い降りて
何故 枝に腰掛けている
雪よ
おまえ自身の輝きは無慈悲にも
風に触れるだけで黒ずんでしまう
なお降り注ぐ雪よ
僕はなんて小さいのだろう
何もかもがうまくゆかなすぎる
さあ くるぶしが埋まるまで踏みしめながら
後悔をたどるように後ろ向きで歩こう
いっそ切り倒された潅木につまずいて
仰向けに倒れこんだなら
もう 誰も僕を起こせやしない
もう 誰も僕を愛せやしない
雪よ
二晩目には この身に降り積もり
何もかもを消してしまっておくれ
雪よ
明日の朝になれば 誰かが
描写的な死亡記事を書きたてるさ
おお なお降りそそぐ雪よ
おまえを汚してしまわぬように
血を流さぬまま眠りに落ちよう
ああ けれど
このまま土に帰るわけにはゆかない
やり残したことが まだ･･････
まだ･･････
ああ 春が来たら
僕は生き返らなければ
春がきたら必ず
僕は生き返らなければ
あの人に謝るためだけに
