うずしお 子らよ　はるか古代よりつねに 降り立った命は祝福にあふれ 空ははてしなくひらかれている じゆうに夢の羽を広げることも 思うぞんぶん人を愛することも ゆるされたせかいだ でもこの時代に降り立ったきみらは 新種の洗礼を浴びることになるだろう これからきみらがいどむ海原は 自尊心の潮がうず巻いていて 泳ぎ方をあやまればすぐに のみこまれてしまう 子らよ しくじったひとを見て笑ったり やらかしたひとを蔑んだりして じぶんをすぐれた存在であるかのように かんちがいするおとなにはなるな 子らよ じぶんのことを天才と呼んだり みずから詩人と名乗ったりして まるでとくべつな存在であるかのように ふるまうにんげんにはなるな 不特定多数のひとたちから いいねと褒めたたえられることが そのにんげんの価値ではない じぶんがみとめられる じぶんでいること ひとりのひとを愛しぬき 愛されることに意味がある 子らよ　はるか古代よりつねに 命はかけがえがないのだから わざわざじぶんを誇るのではなく めぐり逢えた夢や 出逢えたひとを誇れ じぶんをえらく見せなくたって とっくにきみは尊いんだよ