屋根の上の懺悔



淋しいと言うので原付で駆けつけた

君の部屋だけ明かりが灯る

小石が窓に命中すると明かりは消え

玄関のドアが静かに開く

着替えてくればいいものを

寝巻きのままきみはあらわれ

やつれた笑顔でぼくを迎えた


星が見たいと言うので屋根にのぼった

星の色まではっきり見えた

北斗七星をつなぐ線まで見えそうだった

都会にもこんな穴場がある

きみのわがままに付き合うと得することもある


破れた恋をきみは語る

ぼくは友達の失恋を聞く

もしもぼくが詩人だったら

こんな時には言葉で慰められるだろうか

ふたり黙って星を見上げて

互いの片恋の行方を嘆く

この世に気の利いた神などいない


ああ　メグレスよ　ベナトナシュよ

このともだちに気づかれずにきた

愛を今は黙らせてみせます

どんなに騒ごうが湧き出そうが

今は想いを言うべきではない

ああ　ミザールよ　ぼくは男だ

愛する女の孤独に

つけこむような真似はできない