ゆっくりすすむひと



もし進むべき道に

壁が立ちはだかっているなら

ひとつひとつ

越えてゆけばいいさ


壁を越えるのには

手間も時間もかかるけれど

ゆっくりゆっくり

やってゆけばいいよ


壁のない人たちが

足早に通りすぎてゆく道で

ふと足元のきれいな花に

気づくこともあるだろう


壁をのりこえるとき

のぼりきった高みから

とおくにかすむ夢が

見えることもあるだろう


たぶんひとのあゆみには

ただしい速さなんてない

きっと生きるということに

ふつうの早さなんてない

ゆっくりすすむひとには

ゆっくりすすむひとなりの

景色があるはずだ


のりこえられない壁なら

穴をあけてもいい

穴をあけられない壁なら

回り道をさがせばいい

きみなりのやり方で

きみなりのペースで

ゆっくり ゆっくりと


おくれている命なんて

ひとつもないさ