あなたを待つ



地下鉄駅構内の

花屋の向かいで

あなたを待つ

いつもおきまりの

待ち合わせ場所


どんな顔して来るのだろう

どんな服着て来るのだろう

そればかり気になって

花なんて一輪も

目に入らない


ぼくが後から来るとき

あなたがスマホを見ていると

かなしいから

ぼくはスマホなんて見ない

あなたには劣る

花たちも見ない

近づいてくるはずの

地下道に目をこらし

一秒でもはやく

あなたを見つけたい


どんな風に髪をゆらして

どんな音で靴をならして

あなたが現れるのか

ぼくは待つことだけに

気持ちをあつめる


とおく とおく

人群れのすきまで今

あなたのつぼみが

ほころびはじめる