あたためたい わたしはあなたの 太陽になりたい でも　きっと燃えすぎて 灰になってしまうだろう ならばあなたの たいまつになりたい でも　きっと焦がれすぎて 炭になってしまうだろう であればあなたの 電気ストーブになろう でも　コンセントのプラグが どこにも見つからなくて せめてあなたの ひざかけになりたくも つつみこむだけの面積が 足りないから いっそあなたの 使い捨てカイロでもいい いいや　それじゃとても あたためきれない あなたの氷河期を前にして わたしは途方に暮れるばかり 凍てついた心を 溶かすこともできずに それでもあなたの 手だけは離さずにいる 血のぬくみほどしか 伝えられないけれど あなたの春に なれないのなら いちばん近くの にんげんでいたい