幻滅 きれいごとも 浪漫チックも 美辞麗句も 馬鹿げてるようにしか響かぬ沼で おれたちは窒息していた 幸せを敵にまわすことで 絆をつむいできたようなふたりには 陽のあたる祝福も ステキナミライも 付けるべき名前すらありはしない かぐわしい春の野原で 恋人たちが戯れているころ おれはおまえのだらしない匂いを嗅ぎ さわやかな秋の浜辺で 夫婦たちが月を眺めているころ おまえはおれのなさけない液を吸った 夏空の下で繰りひろげられる あまたのノロケ話から どうやって耳をふさげばいい 冬の夜の焚き火に集う あたたかな家族の物語から どうやって目を覆えば あるのはただ ゆがんだ秘密と 出口のない闇と 人をねたむ醜いおのれ だからといって　どうしたって おまえがいとおしくてしかたないんだ 体裁をとりつくろうくらいなら いっそ腫れるほど手を握りあったまま ふたりで恋に幻滅しよう その先にあるはずの むさくるしい愛のために