ゴッホと少女 画材屋を訪ねたら 母に手を引かれた娘が ゴッホのリトグラフを見上げ 「わあ　じょうずね」と言っていた 思わずハッとする そんな感想をとっさに口にできる 邪気のなさ まっすぐさに ぼくらは名画を前にすると 構図がどうだとか 色使いがどうだとか こぞって理屈をひねりだす ゴッホをほめるより先に 芸術に理解をしめす 自分をほめてもらおうとして 小難しく言おうとするのは 浅い捉え方をごまかしてるからで 奥底の真理に手が届いたら やさしく伝えられるはず 娘は無意識のうちに その澄んだひとみで いかなるフィルターも通さず 本質をわしづかみにしたのだ ありがとう　少女よ 忘れがちだったことを きみが思い出させてくれた そうだね ゴッホってすごく絵が じょうずだよね