半畳分の春



寒がりのきみに

電気毛布をプレゼントしたい

けれどもきみの

いたむ胸がすむ枯野には

コンセントがない


ならばせめて

カシミアかシルクの毛布でも

けれどもぼくの

さびれた胸の商店街には

高級品など置いてない


寒がりのきみが

凍えているわけはきっと

肌を刺す木枯らしのせいじゃなく

胸から漏れるため息が

こころのぬくみを逃がすから


寒がりのきみに

ともだちのぼくからいま

贈れるものがあるとすれば

ポリエステルで安物の

ひざかけくらい


それでも ひとときでも

きみをあたためうるならば

そっと胸にかけてあげたい

たとえたたみ半畳分の

粗末な春でも