ヒミツ あなたには わたしに言えない秘密がある わたしはそれに触れないように 気をつけながらあなたを抱く 疑いの雲間から空が覗き 鍵が落ちてきたとしても 扉をこじ開けあなたのほんとうを わたしはあえて暴きはしない わたしたちには だれにも言えない秘密がある それだけが互いの糸を かろうじて結び合わせている 世間を敵に見立てて 分かる者などありはしないと くすぶる卑屈さに薪をくべ わたしたちは夜を焼き払う やがて引き剥がされることになる 焼けただれたふたつの尻を 硝子ごしの月光が照らしている 向かいのビルの一階では ＵＦＯキャッチャーの電子音が 愉しげなリズムを刻んでいる わたしには あなたに言えない言葉がある あなたはそれに触れないまま わたしを子宮に受け入れる 打ち明けてはならぬ思いが 今にも先から漏れ出そうなのに あなたは秘蜜に濡れた洞で 残酷にわたしを絞めつける