いちばんぼし もうずいぶん長いこと 無重力の闇を 浮遊している 羊水を泳いでいたころは 臍帯で繋がれていたのに あの洪水が起こってから この身はずっと 母船より切り離された 浮遊する肉塊 宇宙は凪 こころの動きに かすかに呼応して みぎに揺れ ひだりに揺れしても 足裏はどこへも 触れたことがなく 虚空をかきいだいても 思った方へは進めない それでもわたしは 手をのばしてしまう あのはるかな光は きっとあなた この宇宙でたったひとりの 手をつなぎたい いつか茫漠たるユニヴァースの かたすみでつながりたい あなたはわたしの いちばんぼし どうかこのいのち 蒼くちぎれるまえに わたしに気づいて