風見鶏 うじうじ悩んでばかりいる きみのこころの風見鶏は いつもうしろを向いていて つよく息を吹きかけたり 歌をうたってみせたりしても ちっとも前を向いてくれない このたよりない吐息では きみの胸に吹く風向きを 変えることもできなくて ぼくは無力にうなだれる もしこの手が胸に届くなら くるりと前を向かせるのに でも　あるとき知ったんだ 風見鶏というのは風上を 向くようにできているって きみはうしろから吹いてくる 風と対峙していたんだね 過去から吹きつける向かい風に 過ぎてきた悲しみや苦しみに 正面から向き合って じっと耐えてきたんだろう それに気づいてぼくは もっときみが好きになったよ でも　もう未来へ歩かないか うしろから吹き寄せてくる風は 前を向けば　追い風になるって ほら　風見鶏が示しているよ