プラネタリウム



朝がた 庭を掃いていると

枝から枝へとつな渡りする

一匹のクモがいた

尻の先から糸を吐きつつ

せっせと住まいをこしらえて


昼すぎ また庭に出てみると

巣はすっかりできあがっていて

あるじはその真ん中で

風に揺れて昼寝をしている

網をハンモックがわりにして


のん気なやつだ そうしておれば

食いぶちがやってくるんだな

住まいをかまえたらおれたちは

ローンやら近所づきあいやらで

おちおち寝てもらんないってのに


暮れがた 夕立がふりはじめ

心配になり庭に出てみると

なんてことはない

どんな防水機能か知らぬが

網は形を崩さずにいる


真夜中 縁側からながめると

巣に残る雨水のしずくたちが

月あかりをはね返し

それはまるで庭でまたたく

小さな星座のようだった