レシピ



まず とれたての

できれば無農薬の

新鮮な心象を用意します


次に

畑から掘り起こした際

こびりついてきた冗長さを

丁寧に水で洗い流し

包丁のあごで

句読点を芽とりしておきます


ピーラーで論理を剥いたら

一口大に切って水に浸け

変色を防ぎ あく抜きをします

そして茹でます

最初は沸騰しがちですが

徐々に火力を調整します


しばらくすると

抒情の箸がスッと入る程度に

やわらかくなってきますので

あとは腕をふるって

美学なりユウモアなりで味付けし

そっと皿に盛りつけます


(ここで先ほど芽とりしておいた

 読点を繋いで一本とし

 句点の穴に通します

 そうしてできた首飾りを

 紙ナプキン代わりに

 お客様の首にかけ)


召しあがるお客様の

舌や 食道や 胃の底で

なんらかの心象が広がったなら

できあがりです