水平線
頭のいいカモメさんと
頭のいいイルカさんが
議論をかわしている
頭のいいもの同士なのに
問題が解決しないのは
どうしてかしら?
そばで聞いている
オニユリさんは
首をかしげている
オニユリさんは
ふたりの会話が難しすぎて
半分も理解できないけれど
カモメさんが空の都合ばかりで
イルカさんが海の都合ばかりで
主張していることは分かる
カモメさんは自分の頭の良さで
イルカさんも自分の頭の良さで
相手をやり込めようとするから
いつしか頭の良さ合戦になり
議論は平行線
本題はどこへやら
ふとオニユリさんは
日の暮れかかる浜辺より
はるか水平線をのぞむ
空の青と
海の蒼が
何も語らず溶けあっている

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