夜空



「暗くなってごめんなさい」と

帰り道の途中できみはこぼす

今はじぶんのことだけで

手一杯のはずなのに

ふいにぼくのことなんか気遣って

そんな風だからきみはなにもかも

ひとりでしょいこんでしまうんだ


暗くなったっていいんだよ

辛ければ辛いと言えばいいし

泣きたいときは泣けばいい

とりつくろったりせずに

そのとき胸にあるものを

むき出しのまま見せてほしい

暗いきみだって ぼくは好きだ


見上げてごらん

夜空は暗くなることを

恥じてなんかいない

闇を深めゆくほどに

月や星たちを輝かせている

そんな夜空が ぼくは好きだ


あやまらなくていいんだよ

きみが暗くなってしまうときは

へたに明るく振る舞ったり

むやみに励ましたりなどせず

ぼくもいっしょに暗くなるから

うつむきながら 歩いてゆこう


それでもわずかに残るぬくみを

つなぎあった手で伝えあい

ふたりでひとつの

夜空となるまで


探している星が 少しでも

見つけやすくなるように

月の照らす道が もっと

見えやすくなるように