夕顔 真白い夕顔の鉢植えを たそがれどきの窓辺に置いて 帰らぬひとを待っている 取り返しのつかない ひどいことを言ってしまった 傷ついたような振りをして あなたの無実に噛みついた 疑ったりしたのは わたしの空想が汚れていたから 空想が汚れてしまったのは わたしの心がよじれていたから あなたの育てた夕顔が 吹き下ろす空風にゆれながら 朝を待たずにしぼみかけている 夕陽が花弁をくれないに染めても わたしは二度とその花を 刺もつ薔薇とは見あやまらない どうかもういちど窓の向こうに 姿を見せてはくれませんか せめてひとことあなたに 謝りたいのです もっとも愚かなことはきっと 騙されて傷つくことでなく 花の白さを疑うこと